ほっとねっと 藤田真人


rain傘が手放せない季節となってきました。私は傘を持つことによって片手が塞がるのが嫌で、多少の雨では持たない性格ですが、この時期ばかりは性格を曲げなければなりません。使用している時は便利ですが、それ以外の場では邪魔でしょうがありません。場合によっては置き忘れてきてしまう事もあり、けっこう手のかかる物だと私は感じています。

傘に対し、様々な思いがありますが、私には忘れられない一つの思い出があります。今思い返すと、その思い出が福祉の仕事をするきっかけとなったのかもしれません。

どんな思い出?大した事はありません。私が高校生の時のことです。雨の中、傘を持つことが嫌いな私が信号待ちをしていたところ、隣にいた知らない女性が傘に入れてくれました。その時は一言お礼を言っただけでしたが、心の中ではかなり感動していました。(一見、ありがちな事ですが、滅多にないのでは?)

「自然に他人にやさしくできるって、すごいな。日常は勿論、仕事としてでも、人の助けになる事、役にたつ事ができたら・・」そんな思いが込み上げ、福祉の仕事を選び、現在も福祉の仕事に従事しています。勿論、その事だけで福祉の道を選択したわけではなく、祖母が老人施設に入居していた事、兄が当時、病院で勤務していた事なども含めての事です。

傘に入れる事くらい簡単だ、と思う方もいるかもしれませんが、私は咄嗟にはできません。勇気がいります。行動するまで考えてしまいます。電車やバスで席を譲る時も、声をかけるタイミング、譲った後、自分だけ良い事をしたみたいで居心地が悪くなってしまうなど、いろんな事を考えてしまいます。

ある日、電車の中で女子高生がお年寄りに席を譲っていました。その行為に、周囲の乗客が一斉に目を向けました。首を横にしてまで見ていた人もいました。便利な物が多く、他人と関わる事が少なくなった現代では、この行為は珍しい光景なのでしょうか。恥ずかしながら、私も目を向けた一人です。

その光景を見て、私もそうですが、その場にいた方々は一瞬でも、温かみを感じたのではないでしょうか。些細な事でも、人の親切は受ければ勿論、目にしただけでも、ほのぼのします。いろんな人が、いろんな所で、この小さな幸せを感じられれば良いなと思っています。女子高生、ありがとう。本当は大人が見本を見せなければならないのに・・・

今でもたまに、信号待ちをしている時、「傘の女性」を思い出します。その人を見本として行動することで、自然と仕事にも反映すれば、と思っています。そして、下手に他人に声をかけると怪しい人と勘違いされる妙な社会の壁を、「自然な親切ハンマー」で、コツコツと崩していきたいと考えている今日この頃です。考えるまでもない、簡単で普通の事なんですけどね。