事務 千代 優美子


 あおぞら診療所といえば、往診専門の診療所というイメージが強いかもしれませんが、実は外来もやっているんです。ただ、日中は往診が中心になりますので、外来は限られた時間に、予約制で受け付けています。

 その外来にいらっしゃる方で、竹とんぼを持ってきて下さった方がいらっしゃいます。正確にいうと、紙でできているので「紙とんぼ」になるのでしょうか。外来に来る子どもたちが楽しめるように、とのことです。

 厚めの紙に竹串をさしたものと、その半分ぐらいのサイズで、軸(じく)は爪楊枝(つまようじ)のものの二種類です。大きい方は、両手ではさんでくるくるっと飛ばす昔ながらのものですが、小さい方は片手で持って指先で回すのです。こちらは、飛ばすのにちょっと技術がいります。

 看護師やPT(作業療法士)が持ち出して、患者さんの所に持って行ったり、外来の子どもたちが遊んだりしますが、実は職員が一番楽しんでいるような気が致します。

 「昔は竹で作ったんだよね」

 「竹を削るのがむずかしかったよね」

 「削っているうちに羽根が薄くなっちゃうんだよね」

 などと、昔話に花が咲いたりして、とてもやさしい気持ちになります。

 先日、竹とんぼの作者が、外来のお子さんに飛ばし方のコツを教えていました。孫とおじいちゃんぐらいの年齢の開きがあるのでしょうが、竹とんぼという共通のおもちゃを通しての会話は、ほほえましいものがありました。伝統というと大げさですが、古き良きものは、こうして世代を超えて語り継がれていくんだなあ、と感じたしだいです。

 緑のケヤキ並木の中、さわやかな風が吹いたと思った瞬間でした。

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