現在の65歳以上の高齢人口は25.1%(H25年10月、前年24.1%)であり2007年から超高齢社会(高齢化率21%以上)の域に達している。厚生労働省が発表する「国民生活基礎調査(平成25年)」では、自宅で暮らす要介護者を主に介護する介護者が65歳以上の世帯の割合は51.2%となっている。さらに、介護者と要介護者が75歳以上という超老老介護の世帯の割合も、29%と、在宅介護者の半数以上が老老介護と直面している。
核家族化が進んでいるため老老介護の世帯が増えて行くのは当然だが、長寿国であるために老老介護は高齢の夫婦のみで構成される高齢者世帯だけでなく、2世代同居をしている世帯でも見られる事例である。
高齢化に伴い、日本では認知症患者数も増えており、要介護申請を行っている認知症患者は平成22年には65歳以上高齢者のうち約9.5%を占める280万人と報告され、2025年には470万人になると予想されている。また、要介護認定を申請していない認知症予備軍はおよそ800万人以上と言われており、介護が必要になった主な原因として認知症は第2位となっている。
65歳以上の高齢者の実に10人に1人が要介護認定を申請している認知症患者であるという実態は、在宅介護を行う介護者も認知症であることが珍しくないことを示している。老老介護の状態であるうえに、介護者と要介護者の両方が認知症であるという認認介護というケースも増加している。
根本的に老老介護を解決するためには、施設入居か核家族化の解消が必要であるが、その前段階としてまず在宅サービスの利用で介護の負担軽減を図ることができる。デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイサービスなど、組み合わせ次第で介護者の負担は大きく軽減できる。
しかし、老老介護の問題点として情報収集力が弱いということも挙げられる。また都市部などでは孤立した環境で、地域とのかかわりが薄く、相談相手がいないといったケースも多いため、自治体が主体となり高齢者にも伝わりやすいメディアを活用し、地域全体で情報を提供することが大切と考える。また町内会、自治会といったより地域性の強い団体に属し、近隣住民とのつながりを持つことも介護者の身体的、精神的負担軽減につながると考えられる。