1.消化管閉塞の治療
①胃管、イレウス管
②バイパス手術、内視鏡的ステント留置術などの手技
③薬物療法
④輸液(1000mL+異常喪失量/dayを目安に行う。2000mL/day以上の輸液は腹水、浮腫などを悪化させることが多い)
2.癌に伴う手術不可能な消化管閉塞の患者に対しての薬物治療
①酢酸オクトレオチド(サンドスタチン®)
②デカドロン
③その他の制吐薬の投与・・・ブチルスコポラミン臭化物、ハロペリドール、ヒスタミンH1受容体拮抗薬、メトクロプラミドなど。ただしメトクロプラミドは不完全閉塞または、麻痺性で、かつ疝痛が無い時のみ使用し、症状増悪時には速やかに中止する。
今回の症例では、嘔吐・嘔気の改善のため、デカドロンを使用し、さらに、排便あり、腹部所見が乏しく、消化管の不完全閉塞と考えられたので、メトクロプラミド(プリンぺラン®)を併用した。
3.酢酸オクトレオチド(サンドスタチン®)の有用性
オクトレオチドはブチルスコポラミン臭化物と比較して、手術不適応な消化管閉塞に対して、嘔吐回数、嘔気の持続時間、胃管排液量のいずれも優位に改善を認めた。(Mercadante S, Casuccio A, Mangione S.Medical treatment for inoperable malignant bowel obstruction:a qualitative systematic review. J Pain Symptom Manage 2007;33:217-23より)
よって手術不能な消化管閉塞に対して強い推奨がある(1B)。
基本の使用法は、サンドスタチン®持続皮下注射 0.3mg/day(経静脈的使用と間欠的皮下注射は保険適応外使用)