<丸山ワクチンとは>
丸山ワクチン(Specific Substance Maruyama, SSM)は、日本医科大学皮膚科教授だった丸山千里博士が開発したがん免疫療法剤。ヒト型結核菌から抽出されたリポアラビノマンナンという多糖体と核酸、脂質である。
<機序>
ワクチンの結核菌抽出物が樹状細胞を活性化させ、それにより樹状細胞がキラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化し、がん抑制効果をもたらすのではないかと考えられている。
<使用方法>
基本的には隔日投与で(A), (B)を交互に投与する。
場合によっては週に3回(月水金)で投与する。
開始時期は問わない。使用期間は最初の3年は隔日または週3回投与をし、以後は病状にあわせて適宜漸減する。
<費用>
有償治験の費用は、 1クール分(通常はA=10本、B=10本、隔日注射により40日分)につき、9,000円+消費税=9,720円です。この外に診療施設に支払う注射料(技術料)、文書料(経過書作成)等が必要。約1万円/月x12月=年間約12万円
<エビデンス>
長らくエビデンスは存在せず、それゆえ厚生労働省でもExperts Opinionのレベルに過ぎないとの見解で今だに未承認となっている。
しかし2013年にstage3Bの切除不能子宮頸癌に対してのPhase2-3ランダム化比較試験が施行され、P=0.0737と統計学的有意差はないものの5年生存率が介入群で75.7%、プラセボ群で65.8%と10%の上乗せをみせている。有意差が出なかった原因として両群の生存率が予想以上に良かったことを挙げている。また、丸山ワクチンと同等量の0.2μgと既に承認されている「アンサー」と同等量の20μgとその倍量の40μgで比較試験を行っているが、そこで0.2μgの低容量の方が高容量の他の群よりも効果が大きかった。
出典:
Sugiyama T, Fujiwara K, et al. Phase III placebo-controlled double-blind randomized trial of radiotherapy for stage IIB-IVA cervical cancer with or without immunomodulator Z-100: a JGOG study. Ann Oncol. 2014 May;25(5):1011-7. doi: 10.1093/annonc/mdu057.