緩和ケアは、生命の危険のある疾患を持つ患者及びその家族に対して、その診断から生命の終わりや遺族ケアに至るまで行われる、痛みをはじめとする諸症状の緩和と霊的、心理的なサポートのことをさす。
本症例では早期在宅導入をしたことで、「言いたいことが言える」関係を構築でき、本人・家族の精神的安定だけでなく、家族の心理的な準備が整っていくと考える。また、子供を取り巻く環境は、成人の場合と比べて多様である。患児には小学生の兄がいる。両親のケアは当然として、親の関心が患児に集中する環境で、深く傷ついていることも多い同胞のケアも非常に重要なテーマになると考えられる。
Not doing but being 何かをすることではなく、傍にいること。
苦しみを分かち合うこと、ただ話を聞き、できるだけ一緒に笑い、家族と子供が楽になるためにできることを考え続けること、一緒に揺れることを積み重ねていくことが傍にいること。
しかしそのなかで、本人のためにできることをみつけて、患児を笑顔にするため、ウクレレ演奏や歌を歌うなど真摯に向き合う先生の姿をみて非常に感銘を受けた。
それをみていると、なにかが出来ることではなく、そこに今在ること、あなたの存在が大切であると、子供に伝えているように感じた。先生の暖かい音楽で、家族の雰囲気も和らいでいた。将来児童精神科医になることを志しているが、この考えを大事にしたいと強く思った。
また、病院でみる姿だけでなく、家や学校での本人の様子をみることで、その子の「生活」がわかる。とくに、児童精神の領域では、実際にその子の生活の実態を知ることが診療のうえで一番大切といっても過言ではない。将来的に、児童精神科医の立場で往診もしていければと強く思った。